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初見の感想(11/5)

溺れるナイフを見た初見の感想。 

(特にネタバレは含みません。)

 

 

 心臓が痛くて、切なくて、哀しくて、虚しくて、もどかしくて、だけど嬉しくて、楽しくて、幸せで、キラキラしていて、そんな十代の自意識が交差していた。大人になると忘れてしまう感情や景色が輝いていた。
 壁ドンや顎クイなどのキュンキュンするラブストーリーとはまた違う、葛藤、渇望、狂気、憎悪、十代ならではの無垢で純粋な感情が溢れる作品。大袈裟かもしれない、現実的ではないのかもしれないが、同じ感情は誰もが抱いたことがあるはず。しかし、ネガティヴばかりではなく、夏芽と大友のシーンは特に穏やかで、この作品の中で灯りを照らしてくれた。最後は希望に満ちた終わり方で感動した。
 夏芽とコウが叫んでいたように、空も海も山も、全ての自然が美しく、その中で渦巻く人間模様が、都会のコンクリートジャングルでは創り出せない世界があった。

 

 神キャスティングと言われているだけあり、全てのキャストが役にハマっており、違和感を感じさせず、漫画の世界から飛び出して来たような感覚。
 特に、大友は、監督がそのままで挑んでくれと言ったように、重岡くんそのもののような気がしてならなかった。ジャニーズ、ましてや芸能界になんて微塵も興味がない、父親の背中を見てカッコつけようとしていた一少年のままであったら、あのような青春の日々を過ごしていたのかもしれないと思った。重岡くんは大友にはなれないと言っていたけれど、監督が言ったように、スクリーンであれだけの感情が出せたなら、きっと素の重岡くんも心から好きな人ができたら大友のようになれるのかもしれないと。むしろ自由気ままなコウのようになる方が難しいのかも。だからこそ、青春の全てをジャニーズに捧げて、今こうして活躍してくれている重岡くんに感謝しかない。

 

 小松菜奈ちゃんは綺麗で、透き通っていて、儚い印象であった。17日間の限られた中で、とても苦しい思いをしながらも、夏芽がしっかりと生きていた。上白石萌音ちゃんも、カナの特徴をしっかり捉え、本人も1つ1つの動きをよく考えたと言うだけあり、動作1つとっても他の誰でもなくカナであった。
そして菅田将暉くん。好き勝手自由な性格だからこそ感情が読み取れず、人間ではなく神様なのではないかと思わせるコウ。人を惹きつける役柄が当てはまっていた。

 

 この作品では息遣い1つまでもこだわり、その1つ1つが溺れるナイフの世界のパーツであると感じた。カメラワークも、セリフを話している人物の顔をアップで撮り、交互にカメラが切り替わるところなんかも、監督のこだわりを感じた。引きで会話をしている全体を撮るのではなく、一人一人を撮ることで、それぞれの見えない感情が伝わってきた。
海中のシーンも印象的で、音のない歪んだ空間に自分もいるかのような感覚で息を呑んだ。そして物語を盛り上げるサウンドトラックも素敵な曲ばかりであった。

 

 一分一秒たりとも見逃せず、呼吸さえも忘れて見入ってしまうほどの溺れるナイフ。私の十代はもう戻らないけれど、映画の中で再び過ごしているような、青春そのものであった。もう一度、と言わず何度でも見たい!感じたい!味わいたい!


目が回るほど、
息が止まるほど、
震えるほど─────。

 

 

 

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